狭山養生鍼灸院

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頭の症状

頭痛・頭重感、不眠、イライラ、等についての解説記事をご紹介しています。

「頭痛」

 頭痛の原因は様々です。ここではいわゆる『頭痛もち』といわれる常習的な頭痛について話をします。頭痛と関連して「頭に鉛を入れたような感じ」と表現される頭重感・肩こり・眼精疲労・鼻炎・耳鳴りなど、顔面諸器官の異常をあわせて訴える人が多いものです。一緒に話をしましょう。
治療法としては、まず肩こりを除き、次に頭のツボにハリまたは灸をします。

  頭に灸をすると言いますと、決まって「ハゲませんか?」とか「熱くないですか?」という質問が返ってきます。心配ありません。灸によって毛根を損傷することはなく、かえって以前よりも良い毛が生えてきます。お灸が毛根に対する適度の刺戟になるものと思われます。事実、円形脱毛症には、頭に円状に数多くの灸をすえて治療します。

  また、人体各部にお灸をすえる場合、頭は最も熱くないところです。それどころか、頭の灸は大変気持ちよく、お灸をすえた後もすがすがしい爽快感があります。

長風呂は禁物

 次に養生訓を述べましょう。

 “長風呂”をしないこと。東洋医学の見地からは、身体のある一部分を温めて他の部分を温めないということには重大な意味があるのです。すなわち、温められた部分の疲労素が他の部分に移動すると考えられています。

  長風呂をしますと、首から下の部分だけが温められるので、温められない頭に疲労素が移動し、頭痛など首から上の疾患を悪化させます。実際、注意して観察しますと、長風呂のあと、頭痛・鼻炎・眼精疲労・耳鳴りなどが悪化するのがわかります。

  こういう現象を、東洋医学では『気』の流れが変わると申します。この現象は、ハリ・灸・治療そのものにも言えることです。すなわち、身体の一部を治療することが他の部分を悪化させることがあります。ここに、東洋医学が人体を各部分ごとに考えず、一つのトータルなシステムとしてとらえ、全身治療をする根拠があります。

「ホームタウン 22号」 掲載
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「『百会(ひゃくえ)』の灸」

 新年おめでとうございます。年頭にちなみ、頭の灸について話をしたいと思います。

  頭にあるツボのうち、何と言っても大切なのは『百会(ひゃくえ)』です。百は“もろもろ”という意味で、多くの『気血』が会う所という意味です。

  『百会』は頭頂部の中央にあります。簡便法として、両耳たぶ(・・)のいちばんとがった点を結んだ線と正中線の交点にとる方法があります。このツボはどんな病気にも大切で、とくに中風・不眠症・頭痛・高血圧症・痔などの名穴です。ここにお灸をすえると、どんなにイライラしているときでも、気分が落ち着きます。

戦国武将も愛用したツボ

 ところで、『百会』への灸を愛用した歴史上の人物はたくさんいますが、有名なのは戦国時代の武将である松永弾正久秀の話です。

  松永久秀は、当時の風潮である“下克上”を代表する人物です。すなわち(1)主君である三好氏を滅し、(2)将軍足利義輝を殺害、(3)東大寺の大仏殿を焼き払った。(4)一度、織田信長に仕えながら、後に叛旗をひるがえし、結局は信長に追いつめられ、大和の信貴山城で自刃した──以上のような人でした。

  この久秀、少し中風気味だったようですが、落城寸前になって「頭に灸をすえろ」と言い出し、訝る(いぶかる)家臣に「切腹に臨んで、もし中風が起こって五体が心のままに動かなかったら、死を恐れる臆病者として、後々笑い者になるから」という意味のことを言ったと伝えられています。これは、われわれの間では有名な話です。

  歴史家の早川純夫氏も『備前老人物語』の中から以上の話を引用して、ハリ・灸業界以外ではあまり知られていない松永久秀の一面を描き、久秀を並々ならぬ人物として、世評とは異なる評価を与えています。

「ホームタウン 67号」 掲載
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「頭の疲労」

 最近、堺屋太一氏の『知価革命』という本が話題になっています。その中で氏は、これからの日本社会の変化を次のように予想しています。

  高度工業社会の次に、“知価社会”すなわちいろいろな知恵の価値が尊重され、それが商品化される時代が来ると述べています。この“知恵”とは、新しいファッションであり、新しい情報であり、新しい発明・発見をさしています。このように、有形なものから無形なものへ、価値が移ってゆくと予想しているのです。

  また、ここで大切なことは、これらの知恵の価値が、“使い捨て”になってゆくことです。

  たとえば、いま流行しているネクタイも、数ヶ月もするとはやらなくなり、その流行は二度と戻ってきません。そのため、この競争社会では、絶えず新しいファッションを創造し続けなければなりません。

ふえてくる頭脳の酷使

 このように、知恵が使い捨てになってゆくのです。こうなると、頭を酷使する度合いがますます強くなり、それができない人は競争に落伍することになります。

  その結果、これからの社会では、人よりもいかに速く頭の疲労を取り除くかということが重要になってきます。その方策としてぜひ注目してほしいのは、頭にお灸をすえるということです。

  頭には多くのツボがありますが、とくに重要なのは『百会(ひゃくえ)』というツボです。(百会とは多くの“気”がそこで会うという意味です)。ここにお灸をすえると、頭の中を秋風が吹き抜けるような、大変爽やかな気分になります。

  また、ほとんど熱さを感じないのもこのツボの特徴です。不眠症も治り、頭が軽くなって、新しい気力が湧(わ)いてきます。百会に限らず、頭への灸は大変よいものですが、残念ながら、刺戟が強すぎるとかえって興奮しますので、素人が頭に灸をすえるのは賛成できません。また、頭へ灸をすえても、ハゲる心配は全くありません。

  新しい時代の先端をゆこうとする人こそ、頭への施灸という先人の知恵に学ぶべきでしょう。

「ホームタウン 46号」 掲載
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