狭山養生鍼灸院

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坐骨の症状

椎間板ヘルニア、脊柱管狭搾症、脊椎分離症、脊椎すべり症、座骨神経痛、等についての解説記事をご紹介しています。

「坐骨神経痛 (1)」

 昔から、神経痛にはお灸と相場が決まっていました。つまり、あらゆる神経痛にお灸が大変よく効くということで坐骨神経痛にも、お灸ほどよく効くものはありません。

  お灸といっても、私が普及につとめているのは「熱くない・アトのつかない“八分灸”」です。これは、八部ぐらいもぐさが燃えたところで消してしまう方法で、熱くなく、アトが全く残りません。ですから、小学生でもよくすえる方法です。

  坐骨神経痛とは、図のように、腰からお尻、太ももの後、ふくらはぎの外側あるいは下腿の外側に沿って、痛みやシビレが走る疾患を言います。

手術がいるのはほんの少数

 この坐骨神経痛、世間では腰骨の異常にその原因があるとして説明される場合が多いのです。すなわち、椎間板ヘルニアや腰骨(椎骨)と腰骨の間隔が狭くなっている、といったことが原因であると説明されています。

  しかし実際は、骨には異常がない場合の方が多いのです。また、一定の年齢以上になると、椎間板ヘルニアとか椎骨の間隔異常など、何らかの骨に異常のある人が大部分ですが、ほとんどの人は坐骨神経痛にならず、なっても軽いのが普通です。

  坐骨神経痛の原因を骨の異常に求めるなら、すぐ手術ということになりますが、実際は、本当に手術を要するのはほんの少数です。少し冷静に考えるなら、手術のなかった大昔から坐骨神経痛は存在したのだし、それらの人は手術なしに治っていたのです。

「ホームタウン」‘96年11月15日号 掲載
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「坐骨神経痛 (2)」

 腰から足にかけて痛みとシビレを訴える疾患を『坐骨神経痛』と言います。その原因として、椎間板ヘルニアを始めとする骨に何らかの異常があるものとそうでないものに別れますが、いずれにしろ、その大部分は手術せずに保存療法(手術以外の方法)で治すことができます。

  ですから、患者から相談を受けた場合、保存療法で徹底して治療してみて、どうしてもよくならない時にはじめて手術を考えたらどうかと答えることにしています。それというのも、他の病気と違って椎間板ヘルニアなどは、手術の時期において手遅れになることがないからです。

“八分灸”に効果

 保存療法の中で、お灸ほどすぐれたものはありません。そのお灸も「熱くない・アトのつかない“八分灸”」がよいのです。八分灸は直接灸の中で最弱刺激であり、小学生でもすえることが可能です。

  最近私の所に来られた人の中で、とくに印象に残った人の話をしましょう。

  Aさんは45歳の女性で、小さなスーパーマーケットをご主人とともに経営され、朝から晩まで立ちづめの生活を何年も続けてこられました。7月に高熱とともに足腰が痛くなり、全く動けなくなって近くの病院に入院しました。

  検査の結果、第4・5腰椎の間隔が狭くなっているとのことで、牽引療法と薬剤の注射を受けましたが、少しの改善をみただけで1ヶ月で退院、知人の紹介で、松葉杖をついて私の所へ来られました。八分灸を週2回のペースで2ヶ月間すえ続けたところ、松葉杖は不要になり、階段を降りる時のみ普通の杖をつくまでに回復しました。

  Aさんの話を次回も続けます。

「ホームタウン」‘96年11月25日号 掲載
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「坐骨神経痛 (3)」

 足腰の痛みの大部分をしめる坐骨神経痛についての話を続けます。“骨神経痛には「熱くない・アトのつかない“八分灸”」がよく効きます。

  前回お話をしたAさん(45歳女性)は、2本の松葉杖でやっと歩き、寝返りも困難な最重症の人でしたが、2ヶ月間のお灸治療でほぼよくなったのでした。

  今回はBさん(55歳男性)の話をします。Bさんはゴルフから帰宅し、足腰に痛みを感じながら就寝しました。翌朝、全く立ち上がれない状態になり、そのまま入院しました。病院からは椎間板ヘルニアで手術を勧められましたが、断り、注射と牽引療法を2週間受け、軽快したところで退院しました。しかし、300mぐらい歩くのが限界で、とても通勤できる状態ではなく、私の所を訪ねて来られたのです。

炎症をお灸で除去

 第4・5腰椎の上に圧痛を認めたので、その上に八分灸をすえ、その他お尻から足にかけて圧痛の強い所を探し、そこに八分灸を沢山すえることにしました。その結果、約10回ぐらいの施灸でほとんどよくなり、会社へ出勤できるようになりました。

  この場合、ヘルニア(とび出た軟骨)は元の位置に戻ったのではなく、周りの組織がヘルニアに順応しただけであり、ヘルニアと周りの組織間の炎症をお灸によって除去したのです。人体には元々いかなる状況にも順応する“力”が備わっているのであり、お灸は炎症の除去などを通じて、そのような順応力を高める作用があるのです。

  この治療期間中、患部の安静を保つためコルセットの着用が必要ですが、これにもよい物と悪い物があります。

「ホームタウン」‘96年12月5日号 掲載
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「坐骨神経痛 (4)」

 腰から足にかけて痛む坐骨神経痛には、八分灸が大変よく効きます。それは、椎間板ヘルニアをはじめとする腰骨の異常の有無にかかわらず、同じようによく効くのです。

  八分灸とは、もぐさが八分ぐらい燃えたところで消してしまうすえ方で、熱くなく、アトが全くつかないのに大きな効果があります。

お灸で筋肉を柔らかく

 さて、坐骨神経痛の痛みの原因ですが、それは、筋肉を使い過ぎたために硬化して伸びにくくなったため、発症するのです。硬くなった筋肉の上に八分灸をすえると柔らかくなり、従ってスムーズに伸びるようになります。それと共に痛みも消失していくのです。

  この筋肉を柔軟にする作用において、お灸は他のいかなる方法よりも格段にすぐれています。

  ところで、筋肉は広範囲にわたって硬化しますから、1ヶ所や2ヶ所に灸点をつけてすえたぐらいではどうにもなりません。そこで広範囲にわたってたくさん灸点をつけ、それらに各2壮ずつ(1壮=1回点火すること)すえてゆくのです。一方、八分灸は、それ自体非常に弱い刺激ですから、たくさんの灸点にすえること、つまり数で勝負するのです。このように、私は世間の通念とは異なり、ツボを「点」と考えず「面」と考えているのです。

 写真は、ふくらはぎにたくさん八分灸をすえているところです。このように自分ですえることができるのです。

「ホームタウン」‘96年12月15日号 掲載
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「歩くことの功罪」

 近頃、健康法として歩くことが奨励され、それを実行している人を多くみかけます。中には万歩計をつけ、1日1万歩を目標にしている人もいます。また「歩こう会」というものもあるようです。これは自動車の発達による運動不足への対処法と考えられていますが、こうしてむやみに歩くのは正しいことでしょうか。

  なるほど、歩くことは心肺機能を高め、内臓諸器管の活性化を促す意味で利点が認められます。しかし、整形外科的には疑問が多いのです。というのも歩くことを続けている人の中で、図に示すような腰から足にかけて痛みやしびれを発症し、その治療のために鍼灸院を訪れる人があまりに多いからです。

歩く量を減らし疲労除去にお灸

 先日来院されたAさん(男性65歳)も、毎日1万歩ずつ1年間歩いたところ、足や腰が痛み出し、夜も眠れないと訴えて来られました。そして驚いたことに、歩けないからこれからスイミングを始めようと言われたのです。

  私はどちらもただちに止めて安静にすることを申し渡しました。Aさんの足を診ると、ほとんどの筋肉が疲労のために硬化しているのです。

  大体、毎日1万歩も歩き続けることは、普通の人にとってはやり過ぎもよいとこです。私自身、毎日、朝から晩まで治療のために8つのベッドを急いで移動していますが、万歩計をつけるとちょうど一万歩です。大変足が疲れます。この疲労除去に、毎晩かかさずお灸をすえているのです。

  こんなこともせずに毎日1万歩も歩くのは、とても無理です。もっと量を減らし、休止期間をおき、お灸で筋肉を軟らかくしながら細々と続けるべきです。昔の旅人は『奥の細道』の芭蕉のごとく、お灸をしながら旅をしたのです。

「ホームタウン」‘97年12月15日号 掲載
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