狭山養生鍼灸院

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心の症状

どうき・息切れ、自律神経失調症、胸痛、うつ病、高血圧等についての解説記事をご紹介しています。

うつ病とお灸

 うつ病とお灸、この組み合わせに皆さん「オヤ!」と思われるでしょう。でも、うつ病の方はお灸をすえるべきであり、お灸がうまく出来ない方は指圧でもよいのです。お灸といっても私のお勧めするのは「熱くない、アトのつかない”八分灸”」ですから怖いものではありません。八分灸とはもぐさが八分くらい燃えたときにつまみ消す方法で、熱くなく、アトも全く残りません。八分灸のすえ方については私のホームページの該当欄を見てください。又、指圧をなさる方も該当欄を見てください。

 うつ病の人は、だるくて元気がなく、何もする気になれない。不安感、不眠、頭重感、世の中全てが灰色に見え、死んでしまいたい、等の訴えをされます。

 ところが、東洋医学的見地から見れば、肝臓の動きが弱っている人に多いのです。こういうと、病院で検査しても肝臓などどこも悪くない、と言われます。ここに東洋医学と西洋医学の考え方の違いがあります。西洋医学的には、検査の結果異常がなければ、色にたとえれば白色ということになります。検査結果に異常があれば黒色となり、肝炎という病名がつきます。ところが、東洋医学的に見れば、検査の結果異常がなくとも、古来決まった肝臓のツボをおして痛いとすると、それは、病気つまり黒色ではないが、健康でもない、その中間の灰色ということになります。検査の結果異常が無く、且つ、特定のツボをおしても痛くない時に健康、つまり白色ということになります。東洋的には、白か黒かでわりきるのではなく、灰色という段階を設定するのです。うつ病の多くの方はこの灰色なのです。灰色の人は、だるくて元気がなく、何もしたくないのです。つまり、質的には悪くないが量的には悪い人なのです。こういう人が八分灸か指圧を少し続けると、肝臓の働きがよくなり、だるさがとれ、倦怠感がうすらいできます。ひとつ突破口が出来れば、それまでの悪循環が好循環になってきます。つまり、元気が出て食欲も増し、少し活動的になってきます。それが身体の肉体的疲労をへて不眠解消にもつながってくるのです。尚、八分灸や指圧と薬とは競合しませんので併用されればよいのです。指圧や八分灸をする部位は点ではなく面と考えて広く実行すればよいのです。図の@の中に「中府」、Aの中に「不容」、「期門」、Bの中に「章門」というツボが入っていますが、これらが肝臓のツボとして古来有名なものです。しかし、実際の施灸や指圧に際してはおして痛い所全部を実行してください。斜線全部です。

「どうき・息切れ」

 自律神経失調症について先日お話をしましたところ、どうき・息切れについて質問が多数寄せられましたので、今回は、この質問に限って述べることにします。

 ちょっとした階段を昇るだけで、どうきや息切れがしたり、胸が締めつけられるように痛む、と訴える人は多いものです。病院で心電図をはじめとした各種検査をすると、異常がある場合もない場合もあります。
異常がない場合は、自立神経失調症といわれます。検査の結果に異常がない場合も、異常があってもよほどひどくない限り、お灸は大変よく効きます。

 胸のツボに八分灸をすえる

 どうきや息切れにお灸が大変よく効くというと、多くの方がびっくりし、本当かと言われます。また、そんな症状にお灸をすえると、発作が起こったりしてどうにかなってしまわないかと心配されます。全く心配ありません。それは、私が勧めるお灸が『八分灸』だからです。

  八分灸とは、もぐさが八分くらいもえた時につまみ消してしまう方法で、熱くなく、アトも全く残りません。つまり、一般の人々がもっているお灸のイメージとは全く異なる、弱い刺激法です。

 先日も、ゴルフのしすぎで五十肩になった男性がみえましたが、何気なく図に示す場所を押したところ、強い圧痛を認めましたのでたずねると、どうき・息切れがひどいとのことでした。

 この治療も併せてしたところ、翌日ゴルフをしたが、全く息切れがしないので驚いたという報告を次回に受けました。その後、この方の紹介で、息切れするゴルフ仲間が5人も来られたのには、私がびっくりしました。

「ホームタウン」‘03年7月25日号 掲載
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「心臓病と灸 (1)」

 心臓病にはお灸がよく効きます。こういうと驚かれる方も多いと思いますが、事実です。ただし、心臓病といっても種類が多く、その程度にも大きな幅があるので、大多数の場合ということにしておきましょう。またこの場合、お灸といっても『熱くない・アトのつかない“八分灸”』に限定されます。なぜなら、八分灸こそ、実効のある直接灸の中で最も弱い刺激のお灸だからです。これなら、相当重い心臓病の人にとっても安心だからです。

 中間グループにも症状

 心臓病を二つに分けると、一方は病院で心臓が悪いといわれ、心臓に関する何らかの病名をつけられた人、こちらを色にたとえて“黒色グループ”とします。他方は、病院の検査では異常がないか、あってもごく軽いのに、どうき・息切れ・胸の痛みといった症状を強く訴えるグループです。

  これらのグループは、完全健康体の人を“白色グループ”とする時、その中間、つまり“灰色グループ”と考えられます。これは東洋医学的分類です。西洋医学的には、自律神経失調症といわれる人たちです。でも、東洋医学的診断、つまり図のような心臓病のツボを押してみると、黒色の人たちほどではなくても、相当強い圧痛を認めます。

  こういう圧通のある所に八分灸をすえると、圧痛が消失してゆき、それとともにどうき・息切れ・胸の痛み等の症状はきれいにとれてしまいます。

  灰色の人たちは、質的な疾患はなくても、心臓はやはり量的にはよくないのです。昔は心臓神経症といい、森田療法などの精神療法の対象になっていました。私は森田療法を高く評価しますが、やはりお灸との組合せが最良であると考えています。

「ホームタウン」‘02年1月25日号 掲載
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「心臓病と灸 (2)」

 心臓病には原則としてお灸がよく効くという話を前回しましたが、その続きを説明しましょう。

  前回は、病院の検査の結果ではそれほど大したことがないのに、本人がどうき・息切れ・胸の痛み等を強く訴える場合、つまり自律神経失調症と診断される場合にはお灸が大変よく効くという話をしました。今回は、病院でも心臓が悪いと言われた人の場合です。何といっても、多いのは『虚血性心疾患』です。

 治癒力を高める

 心臓も筋肉でできています。しかも休むことなく運動をしています。そのためにはエネルギーが必要です。そのエネルギーの元になる酸素と養分を血液からとり出さねばなりません。大切な血液を心臓の筋肉に運んでくるのが冠状動脈ですが、その動脈が何らかの理由で細くなったりつまったりして、血液がスムーズに供給されなくなったのが『虚血性心疾患』です。こういうことが一時的に現われ、元に戻るのが『狭心症』です。相当長期間続き、そのため心臓の筋肉の一部が壊死したのが『心筋梗塞』です。この狭心症には八分灸がよく効きます。
  では、心筋梗塞やその他の心疾患ではどうでしょうか。

  私はこれらの人に、ごくゆるい刺激の指圧を少しずつ自分で実施してゆくよう指導しています。

  どうしてお灸や指圧が内臓疾患に効くのでしょうか。それは『内臓体壁反射説』で説明されています。内臓が病気になれば、皮膚上の特定部位に圧痛の強い場所が生じますが、これをツボと言い、大体決まっています。ツボを刺激すると、自律神経を介して内臓に伝わり、内蔵の自然治癒力を高めると考えられています。

「ホームタウン」‘02年2月8日号 掲載
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「高血圧とお灸 (1)」

 高血圧を下げるのにお灸は大変有効です。と申し上げると、大抵の人は本当!と言われますが、本当のことです。

 もちろん、とくに有効なツボがありますが、基本的には身体のどこにすえても血圧は下がります。腰痛や坐骨神経痛の灸治療をしていて、少し回数がふえた時など、患者さんの方から「お灸は血圧を下げるのにもよいのですか?」と尋ねられることがよくあります。そうですよ、と答えますと、道理でこのごろ血圧が下がってきたので不思議に思っていました、という場合が多いのです。

 ところで、年をとるにつれてだんだん血圧が上がってくる、いわゆる本態性高血圧などは、病気というよりも体質の変化です。だから、血圧が下がったからといってお灸をすえるのを打ち切ってしまうことはできません。そこで、診療のかたわら『お灸指圧教室』を開いて、自分で自分の身体に施灸できるよう指導しているのです。

どこにすえても血圧を下げる

 左のアンケートは、教室に来たAさん(女性、68歳)のものです。Aさんは、膝や腰、三里、冷え性のお灸を自分ですえておられます。すると、血圧も下がったと記されています。多くの人が、お灸をすえているうちに血圧が下がってゆき、お医者さんも薬を減らしてゆき、しまいに薬が不要になった人もたくさんおられます。

 お灸といっても『熱くない・アトのつかない“八分灸”』ですから、全く怖いものではありません。薬なしで過ごせるならこれにこしたことはありません。最初は私の手を借りても、自分でできるようになるのが最高です。

「ホームタウン」‘03年10月24日号 掲載
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「高血圧とお灸 (2)」

 高血圧の人にお灸をすえると血圧が下ります。前回に続き、このお話をしましょう。お灸といっても、私のお勧めするのは「熱くない・アトのつかない“八分灸”」ですから、全くこわいものではありません。

  鍼灸院へ高血圧の治療を目的として来られる人はあまり多くはありません。大抵は、肩こり、腰痛、神経痛等で来られるのです。私の所では、問診表というのがあって、いろいろ書き込んでもらいますが、その中に血圧の状況を書いてもらう欄があります。高血圧と書いた人には、主訴とともに血圧の治療もあわせて行います。

 血圧を下げるツボは

 と言っても、実のところ、身体中どこにお灸をすえても血圧は下がるのです。まあしかし、比較的効果が高いのは、図に示した上背部です。この斜線部にたくさん灸点をつけて、それらの灸点に八分灸をそれぞれ2壮ずつすえます(1壮とは1つの灸点に1回点火すること)。

  たとえば、降圧剤を服用して150くらいにコントロールされている神経痛の人が、5回の治療をこえる頃から血圧が下り始め、120台になると、お医者さんに言って薬の量を減らしてもらったり、より軽い薬にかえてもらったりします。全く薬が不要になる人もたくさんおられます。こういう人は私の指導下で、家庭で自分でお灸をすえてもらいます。

  では何故お灸をすえると血圧が下がるのでしょうか。お灸の熱刺激は感覚神経を伝わって脳の視床下部へ行きます。ここには自立神経の中枢があります。お灸の熱刺激は自立神経に伝わります。自律神経のうち交感神経が緊張すると血管は収縮し、副交感神経が緊張すると血管は拡張します。つまりお灸は、副交感神経緊張を通じ、全身の血管を拡張させて血圧を下げます。

「ホームタウン」‘03年11月7日号 掲載
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